2016年01月27日

緩和ケアの日々:2

緩和ケアの病棟に移ってなれてきた頃、ピアノの音が聞こえてきました。
ボランティアが、ロビーでピアノをひいているという。毎週来るのだそうだ。母が顔を見に行くと、ベッドごと移動して聴きに来てくださいと言われたそうだが、父は断った。照れ屋なのです。
20床満室のはずなのに、いつも静かで、ほかの患者が出てきたのを見たことがない。
面会者とはすれ違うけれど、お互いに話もしない。ピアノの周りにも誰もいないそうだ。
ロビーにはカウンターがあり、時々コーヒーを売っている。丁寧に豆から淹れてくれて50円だ。私と母で二つ頼んで、父にはスプーンで飲ませた。家ではよく飲んでいた。
「旨いね」笑顔を見せたが、ふたくちでむせてしまい、それ以上飲めなかった。
まだ痰は自力で出せる。
できることは自分でしたい。
私たちが帰るときは、水が自分で飲めるように、ティッシュが取れるようにと場所を指定して整頓していくよう言う。
それでも日々、容態は下降しているかんじだ。
数日後、朝に病院から電話があった。意識レベルが下がっていると。
何度も覚悟しているが、辛いものだ。
母も私も疲れてきている。
母も私も、今日までかもしれないと、いつも思う。
昼間の間、目が覚めなかった。
泊まろうかと考えたが、母は帰ろうと言った。
「ダメなときはダメなんだから、私たちがきちんと休んでおかないと倒れちゃう!」
母の、何度も覚悟してきた答えなんだな。

「緩和ケアの日々:3」に続く




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posted by さやred at 23:05| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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